荒野を歩く

近所のスーパーは軒並み三が日は休業するという。日持ちする食材をいくつか買い足すため、日が落ちてからスーパーに行った。
橋を渡る時、特に意味もなく鴨川を見やってしまう。いつのまにか季節は一周して、京都にまた冬がやってきた。

去年は半ば自暴自棄のように京都に転がり込んできて、よく分からないうちに年末を迎えた。
そこからまた一年。今年は長かった、ような気がする。

今年は覚悟を決めるべき場面が多い年だった。息をぎゅっと止めて、えい、と身を投げる。剣を振るう。両手を挙げる。
転職をして、休職をした。どちらも自分の中では大きな決断だった。転職してすぐこれかよ、と自分に絶望する気持ちと、今すぐ全てを投げ出して消えてしまいたいという気持ちの両方があって、休みの日でも動揺していた。死ぬ勇気もないから消えてしまいたい、と思っていた。かなりおかしい状態だったと思う。休職のきっかけをくれた周囲の人には感謝してもしきれない。早く健やかになりたい。

もうひとつ大きな出来事。去年からサブのブログで日記をつけるようになって、下北沢の日記屋 月日さん主催の日記祭で日記本を販売した。
日記を書くということは、自分にとって中学の頃から断続的に行っている孤独な作業で、今書いている日記もできる限り自分だけと向き合うように意識している(読み手を意識しないほうが面白くなるという持論)。それでも、イベントを通して出会った方と仲良くなったり、はてなブログのコミュニティのおかげでいろいろな方の日記を読む機会が増えたりして、外と繋がるきっかけになった。友人と呼ぶにはおこがましい、でも赤の他人ではない、なんだろう。いつも乗る電車にいつもいる人、みたいな距離感が心地よい。勇気を出して本を作ってよかった。来年はもっとお話したい。

とにかく周りの人に支えてもらいまくっていた。深夜の梅田で激烈ハグをしてくれた前職の上司、SNSで連絡をくれた知人・友人のかたがた、今晩の献立から人生相談までフラットに考えてくれる恋人。もう三点倒立で寝るしかない(これは俺のユーモアです)。

一年という区切りがあるのは組織とカレンダーに限った話で、それ以外は年なんて関係なしに連綿と続いていく。なにもかも綺麗に年末に終わるわけではない。機会に恵まれた一年だった一方で、不甲斐ないと感じることが多い年でもあった。体調もよく崩した。不安が残る。これからどうなるか分からない、こわい!
それでもピッと前を向いて、一日一日やっていくしかない。納豆と卵、パスタの入ったかばんを持つ手をぎゅっと握る。夜の川面のきらめき、改めて腹を括る年末。よいお年を。

荒野を歩け

荒野を歩け

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