在宅点描(3日目)

8時半まで寝た。

4枚切りの食パンにバターのアップルシナモンのジャム。アヲハタのアップルシナモンのジャムが好きすぎる。本当に。全員食べてください。

あさイチを見たらNHK社員以外バーチャル出演になっていた。ひと画面に二分割で並んでいる華大さんが戦闘アニメのクライマックスと同じ構図。L字テロップとあいまって、日に日に明るいディストピア感が増す今日このごろ、みなさまいかがお過ごしですか。

朝一から南国背景の上司と打ち合わせ。今日は普通に家だった。こちとら一時間前に起きたばかりなので全く頭が回っておらず、相手が「うーん」と悩んでいる会話の間で完全に“無”になる。声もガサガサ。終わった瞬間龍角散をなめる。おいしい。高校時代龍角散にハマっていてしょっちゅう食べていたら、「墨汁の匂いがする」と言われて、それ以来(墨汁)と思いながら食べている。墨汁の匂い好き。

今日は仕事がある日だった。他部署のひとに業務連絡でメールを送ったら「在宅どう?不便ないですか?」とひとこと。そのひとことが嬉しくて、感嘆符多めの返事を送ってしまう。電車に乗らなくていいのでむしろ安心してます、と書いたけど、気持ちはずっと不穏のまま。本当の安心、この世界線にはないなあ。

徐々に足腰が悲鳴を上げてくる。座布団があるとはいえ、ちゃぶ台で仕事をし続けるのはなかなかつらい。おしり、というか、なんかおしり内部にある硬めの骨が痛い(骨は大抵硬い)。ほしい!椅子!

あいまにtwitterを見たら、大学の友達が私のこれを読んで卵をゆでたとツイートしてくれていた。うれしい。こんなことって!
ゆで卵をゆでている時間はかなり祈りに近い気持ちになっていて、あの神聖な空気が伝わっていればいいなあと思う。そんなこと一言も書いてなかったけど。ちょっとセンチメンタルになる10数分間(たまごサラダなので固めにゆでてました)。

13時から打ち合わせだったので、少し早めにお昼。インスタントラーメン。帰省時に親がくれた、明星のいいやつ。ここでもまた備蓄食料を使ってしまう。米を炊け。また安心の残機を減らした。誰もお前を愛さない。豚バラキャベツにんじんもりもりラーメン。昨日の焼きうどんと具がほぼ同じ。味が違うのでOKです。少し時間が余ったので、インターネットで椅子を買う。無印のポリプロピレンスツール。年始に買おうとしたらネットストアが死んでいて、今ふと見たら売り切れていて、慌ててロハコを見たら残1だったのですべりこみで買えた。白くてまろいスツール。届くのは来週らしい。耐え。8時-9時受け取りにしたので、早起きせねば。

同僚から連絡があり、金曜家族が家に居る、テレビ会議の邪魔なのでどうしても私の家で作業したい、と言う。いやだなあ。と思いつつ、渋々OKする。私が逆の立場だったら同じことを言っていたかもしれないから。でもなあ。本当はいやです。ここまできたらどこまで人間と直接会わずにやっていけるか、自分を試したい気分だから。二番目の理由は緊急事態宣言が出ているからです。どこまでも自分本位。

夕方、部署全体で打ち合わせ。全員がワッとZoomに集まって、一人が戸惑いながら喋るすがたをみんながニコニコしながら見守っているのが全部真正面からわかってちょっと泣きそうになる。こんなのって、愛じゃん。「反応」の拍手のボタンをめちゃめちゃ押した。うれしかったから。出張で全然いないひとも、東京支社のひとも、みんないて、みんな映像だから、みんなフラットに話せる。それが嬉しかった。

そのよろこびを噛み締めながら資料を作っていたら夜になった。仕事をしながら晩ごはんのことを考える。動いてないのにお腹がすくのは不思議だなあ。お腹がすいて死にそうだから、お米を炊くのはまたにして、キャベツとツナでスパゲティを作ろうかな。またキャベツか。…………。

音がほしくてテレビをつけたら閑散とした梅田が映っていてびっくりした。来るとこまで来たな。「悔しい」と言って泣いている人がいた。ウイルスがもっとわかりやすくでかいゴジラみたいなやつだったら物理的に怒りをぶつけられるのにね。なんだかやり切れない。

梅田の紀伊國屋も臨時休業らしい。あー。本当に本屋に行けない一ヶ月が来てしまったんだ。来週に出る「ミステリーズ!」どこで買えばいいんだ。バイトしてた本屋の売上を心配してしまう。バイトしてた時お世話になった上司(別店舗に異動になった)は、先月会った時すでにヤバいと言っていた。こんなことで本屋がなくなるのは悔しい。どうにかして、家から出ずに支援する方法はないものか……。配送やってるか連絡してみようかな。同じ本でも買うならAmazonより書店がいい。どうやって買ったかも含めて買い物。

仕事をしながらきょろきょろしてしまう時間が増えた。「ちゃうもん見たいな」という気持ちが出てきていることに気づく。テレビ、パソコン、ベランダから見えるボロボロの木、台所、洗面台、干してる洗濯物、を繰り返し見る生活。自宅に飽きるという感情。意味もなく本棚をじっくり見たり、横になって天井を見たり、視界を変えてみても、結局それは飽きてる家の一部でしかなくて、私が今本当に見たいのは、淀川を渡る大きな橋からの眺めだったり、知らない人がたくさん歩いている人混みだったり、夜の京都駅中央改札だったり、行き慣れた本屋の島台だったり、ロイヤルホストのメニューだったりする。営みが見たいよ〜。三日目にしてこれなのだから、一ヶ月近く在宅をしている人は本当に偉い。ノーベル在宅勤務賞じゃん。

さっき「自分を試したい」なんて言ってたものの、明日は社外の人と打ち合わせがあるので外に出る。二日ぶりの外。必要必急の外出。とはいえやっぱり少し怖い。でも久しぶりに人と会って話せる。営み、は見られるだろうか。電車には乗るから、それはまあ営みの一部か。特急いとなみ104号(ない列車)。終業。