在宅点描(2日目)

7時すぎ起き。
昨日の夜、明日の朝はサンドイッチにするぞと思ってゆで卵を潰していたらなんだか寂しくなって泣いてしまった。運動して忘れるしかない。ゴミ出しついでにウォーキング。大きいカバンを持って出勤する人たちと反対方向に軽装で歩く。自分も先週までは「あっち側」だったのに。

途中パン屋さんを見つけて、なんだかよさそうだったので、在宅中に一度は行きたい。途中行列が見えて、「たこ焼き屋?」と思ったら隣のドラッグストアだった。マスクの入荷数25個。歩きながら人数を数えたらちょうど25人が並んでいた。あるんだ〜実際。この光景。遠回り気味に一駅ぶんを往復したら、30分くらいで歩けるだろうと思っていた距離に50分くらいかかってしまった。単純に土地への理解がない。在宅なのに遅刻した。何?

上司に連絡してから、洗濯機を回してサンドイッチをつくる。仕事が本当にない。きゅうりの塩もみ。マヨネーズと胡椒。一枚にたまごサラダ、一枚にきゅうりサラダを塗ってぱふっと挟む。真ん中をこんもりすると、切ったとき綺麗らしい。実際綺麗だった。
サンドイッチのパンが6枚1セットだったので、バカみたいな量のサンドイッチができた。お皿にぎうぎう押し込む。歩いているとき「なんとなく、カルピス」と思ったのでカルピスを作る。濃いめ。友達が遊びに来たときのロックアイスが冷凍庫を圧迫しているので多めに入れる。テンションを上げるべく、脚付グラス。脚が付くだけで高級感。ルネッサンスか? きゅうりがしょっぱくておいしい。たまごサラダは胡椒多め。もっと入れてもよかった。パンはあと6枚残っている。冷凍庫を圧迫している。

仕事が本当にない。ニュースを見ながらただひとつの仕事をゆっくりする。合間に電話がかかってきて、頼まれた資料をつくる。あんなにサンドイッチを食べたのに、お腹はちゃんとすく。仕事してないのに。

白ごはん.comの焼うどんを作って食べた。焼うどんは醤油味派。ネギを初めて入れたけど、とろとろしておいしい。安心の残機をひとつ使ってしまった。不安になる。

お昼は何をしていたか本当に記憶がない。
ロザンの道案内しよっ!を見たら元気になるかなと思ったら、トミーズ健が怒っていた。内容はなるほど確かにそれはそう、と納得するものだったけど、みんなピリピリしてるんだなと思ったら余計元気がなくなった。そもそもこんな時期に道案内をしてはいけない。過去の総集編みたいなのをうまいぐあいにやっていた。久々に見たらみんななんか老けてたね。

夕方、同僚から電話。本当に暇だった、と嘆くとブレストのお誘い。全員同期の会だったので、バーチャル背景をオーロラにして参加する。あることないこと適当に言いながらも、宣言がいつなされるのか気になって、消音でテレビを流しておく。緊急事態なんてそれはずっと前からそうなのにね。気持ちがずっと。
話の合間にちらとテレビを見たらニュース速報というテロップが見えたので全てを納得した。文字を見ていなかったけど「おあ 出た」と大声で言ってしまう。画面の向こうで「おあ?」と聞き返す同僚の声。

まあ、まあ出たところで何も変わらない。商業施設が一ヶ月閉まるのはつらい。さようなら、無印良品週間(ネットストアってどうしてあんなに欲しいものが買えないんですかね?)、夏に使うグラスが欲しかった、スリッパも。春服も欲しかったけど、もう着てく場所がないでしょうね。本屋にも行きたかった、私は会いたい人がいる本屋に行くことだけを希望に仕事に励んでいる節があるんだよ。文化的なことにお金が使えないことへの失望がじわじわと指の隙間から絡みついてくる感覚。おいしいお菓子も買えないな、なくなってしまった仕事のこともまた思い出してしまう。web会議が案外悪くないこと、時差出勤で得られる朝の一時間、得たものはあったけど、やっぱりまだ失ってしまったもののほうが多く感じてしまう。かなしいね。逢いたい人に逢えないのがつらい。

夜になってからいくつか仕事の電話があり、結局終業時刻は普段どおりだった。あんなに仕事なかったのに。

陽の光が恋しくて、お昼は窓辺にサイドテーブルを出して食べた。渋い色した焼うどんだったけど。明日以降の日本のことを論じるテレビの音を他所に、穏やかな光に当たりながら、私が自分がやわらかく絶望していることを知る。二週間後、の常套句が伸びに伸びて、今一ヶ月後と言われても、一ヶ月後がどうなっているかなんて誰にもわからない。この状況が何を以って終結とされるのかもわからない。増えなければオッケー、めでたし!じゃないし。完全に大丈夫になったところでパンパカパーン!って鳴ってくれたらな。完全に大丈夫になるのがいつか、分からないけど。

いまできることって生きることだけだな。泣くの我慢するのも、甘いもの食べて幸せになることもできないし。生きるだけ。生きてれば大丈夫の世界。許されたい。
そういえば昨日寝る前に短編小説をひとつだけ読んだらきもちよく眠れました。今日もひとつ読もうね。うまい具合のやっていきを自分で見つけて行くしかない。精神サバイバル。終業。