緊急事態が終わる夜に(在宅点描のその後)

急に在宅の記録をつけることがつらくなって急にやめてしまっていた。
いろいろなつらいことを考えては忘れ、だましだましなんとか一日を終えたのに、日記を書くタイミングで全てを思い出さなければいけないことがつらかった。毎晩泣きながら日記を書いて、なかなか眠りにつけない日が続いた。出勤だけして、全ての打ち合わせを断り、布団にこもって一日泣いた時期が一週間くらいあり、それで日記の一切が書けなくなってしまった。
好きだった本を読むこと、絵を描くこと、料理をすること、全てが億劫になって、ちちんぷいぷいを見ても、お天気カメラで見る風景が自分にとってひどく遠いものに見えてずっと泣く日々。

huluのトライアルに入ってアイドルマスターのアニメを2シリーズ全50話をぶっ通しで見たら少し気持ちがましになった。「笑うなんて誰にもできるもん、私には何もない、何も」と泣きじゃくる島村卯月さんがアイドルをやることの尊さ。自分がいる場所・目指す場所じゃなく、そこへ向かおうとあがく姿こそに意味があることを再確認しました。アイドルマスターシンデレラガールズはアイドルのまぶしさと一緒に会社組織の難しさやしんどさを描いていて、自分自身の仕事と照らし合わせながら考えることがいろいろあった。

世の中としてひとつの区切りがつくらしいけれど、会社としては今からというところらしいです。業績がとんでもないことになりました。悪い意味で。よく言えば日進月歩、悪意を持って言えば朝令暮改、毎日いろいろなことが変わる。私が望まない方向に。どんどんつくる人間が置いてけぼりにされていく。手法にとらわれず柔軟に本質と向き合いたい一心で働いてきたけど、新しい方針が手法主体(韻踏んでるね)のものだったので、会社に向けてでっかい銀の匙を投げたところです。スガキヤの。単にスガキヤの特製ラーメンを食べたいだけだが……(大阪にはスガキヤが全然ない)。
在宅勤務もしばらく続くらしい、けど、今週一ヶ月と少しぶりに出社することにした。もう限界なので。家にいてもずっと泣いているだけだし。あと、先輩が投げた匙落ちてないかな、と少しの期待も持っている。会社は信用していないけど、制作の先輩たちのことだけは信じているので。

そんなわけで、一般社会は心機一転リスタート! 的テンションなのかもしれませんが、私は全然気持ちが晴れず、早く帰省して親に転職の相談をしたいな、と考える日々です。外に出る気にもならない。それは人混みが——とかではなく、単に気分が。今世の中と接したら、自分の孤独がより際立ちそうで、こわいな。

しんどいことばかりだけど、しんどいことに対してきちんと泣いたり寝込んだり打ち合わせを蹴ったり素直なアクションを起こせてよかった。在宅のいいところです。
あと、日中に買い出しに行けるので、生野菜とか、お惣菜とか、テイクアウトとか、これまであまり買ってこなかった食べ物をたくさん食べられてよかった。引っ越してずっと街のことを知らないままだったけど、散歩を通していろいろわかったし。近くに文豪が最期を迎えた場所があって、おいしいお菓子屋さんがあって、高いけどおいしいパン屋さんもある。いい街だ。

在宅勤務が続いたことで気持ちがぐちゃぐちゃになったという、エッセイだとしたら最悪のオチなのですが、一旦ここで在宅点描は一区切りとしたいと思います。ああ。人に向けて書いているつもりはなかったけど、結局こういう書き方をしてしまうな。恥ずかしい。

この時期を経て、時間の味わい方とか、会社との付き合い方とか、かなり変わったと感じる。会社のえらい人は、この世の中の変動をうまく事業に生かして、というけど、こういう個人的な内々の変化は事業みたいな表層的なことではうまく消化できないな、と思う……思いながらも働き続ける必要がある。もう何もわからない。わからないけど、終わります。やっぱりこの、思い返すという時間が少しつらいので。在宅点描もしばらくしたら消すかもしれません。消すというか、なんというか。まあ、追々考えようかな。終わります。読んでいるとの言葉、数少ない社会との接点でうれしかったです。ラブだよ。終業。