課題で書いたもの②

前回のやつと同じく、授業で書いたものです。
テーマは「三題噺」。

三題噺(さんだいばなし)とは - コトバンク

授業で出された三題は
「アイドル」「核実験」「晴耕雨読
字数は800字程度。

 「雨の降る日がある限り」

 その日、ライブハウスは揺れた。先月雨天中止で行われなかった、地下アイドル「晴耕雨読」の月イチライブ。防衛省で上司と国民の荒波に揉まれる俺にとって、つかの間の休日だった。
 揺れは塔京都の台場研究都市が震源。核実験によるものだった。第二次太陽系大戦の危機が近く、台場は不祥事が週刊誌にすっぱ抜かれたばかりだというのによくやるものだ。
 ライブハウスの天井を見上げ、地上の様子を案じる俺に、センターの畑麻里の決まり文句が降りそそぐ。
「みんな! 地球は大丈夫。雨の降る日がある限り——!」
 推しの声を背に、俺は来るべき出勤命令に備えて地上へ出た。

 それからの三日間は慌ただしかった。長官の曖昧な発言に振り回される日々。台場の不祥事と無責任な核実験の責任をいかに取るか、 机を囲んで答えが見えない会議を続けた。
 四日目は雨だった。俺は台場の視察に同行し、核実験の詳細について現地の職員から話を聞いていた。全員が白い保護服に包まれている。建物内と服の苦しさに耐えきれず、隙を見て外へ出た。
 遠くに見える七色橋。服越しに雨に打たれながら、推しの決まり文句を思い出す。ライブに行きたい。麻里の声を、聴きたい。

防衛省の方ですか?」
 突然の女の声に、咄嗟に振り返る。俺よりずっと小柄な人間が、防護服を着て立っていた。その背丈と声に、俺は覚えがあった。
「みんな、地球は大丈夫。雨の降る日がある限り」
 地下アイドル「晴耕雨読」の、畑麻里。
 俺は庁内で耳にした、雨の日にだけ現れる女性スパイの噂を思い出す。

 雨天中止の地下ライブ。
 俺は声に出さず、もう一度そのグループ名を口にした。

 

世界観の設定がめちゃくちゃだったり、噂の設定が後半でいきなり出てくるのがフェアじゃなかったりとか色々ありますが、ディストピア東京を描けて楽しかった。
一番最初の伏線を一番最期で回収する、という構成、そもそも伏線を張るということをあまりしたことがなかったので挑戦してみた。

「即興なのによくできています」と言われて喜んでしまったけど、授業全体で一番多かったのが「晴耕雨読」というアイドルを登場させるパターンとのこと。トホホ。